Archive for 8月 5th, 2018
みなさん。博物館の展示室に入ったとき、最初に何を見ますか?
もちろん、展示物を見ますよね。でも、読むのが面倒くさいからと「キャプション」をとばしていませんか?
では次に問題です。これは何でしょう。特別展の中にある恐竜化石の展示物です。
展示室に入った人は、多分強烈な印象で覚えていると思います。
答えは「恐竜の糞」です。
「え〜!」「本物なの?」「臭くない?」と思う人もいるでしょうね。
しかし、これは正真正銘の「恐竜の糞」です。
中味は鉱物に入れ替わっていますから臭くはありません。
では「キャプション」ご覧ください。
こんなの書いてないと分かりませんよね。でも「え~信じられない。」と思われたとしても、きちんと調べられたものなので、ほんとうに間違いはありません。
では、次の写真は何でしょう。
これは「ハドロサウルス類の鱗(うろこ)状の皮膚」の化石なのだそうです。
糞にしても皮膚にしても化石として残ることがあるんですね!
これもキャプションを見てみましょう。(小さい場合は写真をクリックして拡大してみて下さい。)
「ハドロサウルス類」の名前以外にもいろいろな情報が書いてありますね。
部 位:皮膚痕[実物] 分 類:鳥盤類 鳥脚類 ハドロサウルス類
時 代:白亜紀後期 産出地:カナダ
所 蔵:愛媛県総合科学博物館 説 明:うろこ状の皮膚の化石
●これらは、この化石の最低限の基本情報が書いてあって、化石の「名札」みたいなものです。これをみて、どんな化石かだいたい知ることができるようになっています。逆に化石があっても、基本情報が分かっていないと、化石の価値は半分以下になってしまいます。
●「キャプション」を見ていると、たくさんの専門用語が並んでいますが、もし、恐竜についてもっと知りたいとか、夏休みの自由研究をしてみたいという気持ちがあったら、このキャプションを手がかりにして、図書館やインターネットで調べてみてください。いろんなことがたくさんわかっておもしろいですよ。
●また、「所蔵」しているところも要チェックです。本やイラストや写真だけでなく、実物または複製を見に行くのは「基本のき」で、大切な調査の一つです。今回の特別展に並んでいるような実物の化石と対面することで、分かること感じることがとても大事なことなんです。
●では、次に、恐竜ロボットファクトリーで動く恐竜として再現されている「ヴェロキラプトル」の化石とキャプションを見てみましょう。
部 位:頭骨[複製] 分 類:竜盤類 獣脚類 ドロマエオサウルス類
時 代:白亜紀後期 産出地:モンゴル
所 蔵:徳島県立博物館 説 明:体長は約2.5m。大きなかぎ爪(つめ)でえものをおそっていたものと考えられている。前あしの化石に羽毛があった構造が見つかっている。
●「恐竜に羽毛?」と思った人もいると思いますが、恐竜に羽毛があったことは昔から知られていて、今も議論になっています。
●ティラノサウルスも含めたいろんな恐竜が、羽毛があったのか、鱗だったのか、皮膚や羽毛はどんな色だったのか、とても興味深いですね。毎年新しい論文が出て、状況が変わっているようなので、くわしくしらべてみるのもいいですね。
●何と言っても、今から2億年以上前〜6500万年前のことですから、だれか見たことある人がいるわけではなく、化石などの研究成果などをもとにして、生きていた頃の姿や環境を復元するしかありません。
●ということは、新しい研究成果で、今までの恐竜像が変わってしまう可能性が常にあるということですよね。この特別展とキャプションを手掛かりにして、皆さんも恐竜について調べてみませんか?
(企画・伊藤)