▲写真1 空と海の青。 |
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青色は少し変わった色です。(写真1)自然界では空と海が圧倒的なスケールで私たちに青色を見せていますが、その他で青を探そうとしてもあまり見つかりません。石にも生き物にも。(「自然の中の青」)人が作ったものも入れるならば青は他の色よりずっと多いかも。「寒色」なので夏が近づくと特に目にする機会が増えますね。 |
さて、ものが青く見えるということは、そこから青い光があなたの目にやってくるからです。このとき青い光という言葉に注意する必要があります。その光を青く見るのはあなたであり、光そのものに色はないからです。理科の言葉でいう周波数(「周波数について」)という量を光は持っていて、650テラヘルツ周辺の光が目に入ったとき、あなたがその光を青と認識するのです。普通○○色の光という言葉はこのような意味で使われています。 |
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▲写真2 白色光から色を取り出す
白色ライトに含まれる色成分をみると、赤から紫まで含まれていることが分かります。 |
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青いものが青く見えるのは、白色の光をあてたときか青い光をあてたときだけです。他の色を当てればそれは黒く見えてしまいます。青色の光だけを反射できるものが青く見えるのです。白い光にはふつうあらゆる色の光が含まれています。(写真2)青色のものに白い光があたると、青い光だけが反射され他の色は吸収されてしまうのです。(写真3・4))青く透明なものの場合も同じことがいえます。青い光だけが透過され他の色は吸収されることで、青い透明を見ることができるのです。もちろんこの事情は他の色に見えるものでも同じことです。
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▲写真3 白色光で撮影 |
▲写真4 赤色の光をあてて撮影すると、青色だった場所は赤色の光を吸収するので黒く見えます。逆に赤色だった場所は赤い色の光を反射するので、背景の白だったところ(全ての色を反射するところ)と区別できません。 |
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▲写真5 遠くの山が青く見えるのは空の青と同じです。山との間にある空気に散乱された青い光が風景の光に混ざって目に届くので青っぽい姿になるのです。 |
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空が青く見えるのは少し事情が異なります。(「空の色」)太陽からの光を空気の分子が跳ね返す(これを散乱と呼んでいます)結果が空の色を作ります。昼間、太陽以外の場所が暗くないのは、散乱された光が目に入るからです。散乱の度合いは色すなわち光の周波数によって違っていて、周波数の高い光ほどよく散乱されます。色でいえば紫が一番多く、次いで青、緑と続きます。黄色、オレンジ、赤の順に少なくなります。赤の散乱は紫の10分の1です。(散乱されない赤系の色は夕焼けの色として太陽とそのまわりを彩るのに活躍します)すると先ほどの話と合わせれば、空は紫色でなくてはなりません。でも私たちの目は紫色の感度が低いことから相対的に空が青く見えるのです。遠くに見える山が青いのも、空の青さと同じです。山との間にある空気が青系の光を散乱させてあなたに届けるからです。(写真5) |
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▲写真6 水と氷の淡い青。 |
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水は量が少なければ透明にしか見えません。蛇口をひねっても、海に行って海の水をすくってもその色は透明です。水の色がはっきり分かるのは、その深さがだいたい2メートル以上になったときです。これは氷でも同じです。(写真6)水をつくっている分子の形が折れ曲がってるために、水素結合という特殊な結びつきが存在します。(「水の色」)この水素結合のまわりで赤成分の色の光がわずかに吸収されるので、差し引き青色が微妙に水を彩るのです。 |
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▲写真7 雪の青。写真なのでこの青色はちょっと強調されぎみですが、雪の青はこのような感じで見ることができます。 |
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それでは雪は青いか?と聞かれたらやっぱり白と答えるでしょう。でも、白の中に微妙な青を感じることはできます。(写真7)しかし目で感じるのは大変難しい。雪って大変すぐれた光の反射板なのです。大部分の光はそのまま反射されるので、色を見ようとしてもまぶしさが先にきてしまいます。雪の降ったあとのよく晴れた日に日陰を見てみましょう。遠慮がちに青く色づく姿があなたにもきっと見えるはず。今年の冬にぜひ挑戦してみてください。 |
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