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「知ってる?覚えてる?こんなおもちゃ〜水飲み鳥〜」

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写真1
 ひと昔前、「水飲み鳥」(「平和鳥」とも呼ばれています。)というおもちゃがよく売られていました。最近はあまり見かけませんが、科学館などのミュージアムショップに行くと、隅の方にポツンと置かれているのを見ることがあります。
 この鳥はガラスの管でできていて、中には赤または青に着色された液体が封入されています。そしてお尻には鳥の羽根が一本飾られています(写真1)。
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写真2
 頭を下げてコップの水にくちばしを突っ込み、すぐにひょいと頭を下げて何回か頭を上下に振り、しばらくしてまたくちばしを水に突っ込んでまた戻って…と、水を飲むような動きをずっと繰り返します。(写真2)
 「なぜ、こんな動きをするのだろう?」子どもの頃、不思議に思いました。
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 中の液体の正体はエーテルです(最近はエチルアルコールを使っています)。沸点が低く、常温ですぐ蒸発します。
 最初は、鳥の頭を少し水でぬらしてやらなければなりません。鳥の頭が水でぬれると、気化熱によって頭部の温度が下部よりも下がります。その結果、頭部のエーテルの蒸気圧が下部よりも下がります。つまり下部のほうが蒸気圧が高くなるのです。あたたまってエーテルが蒸発し、高くなった蒸気圧によってエーテルが押されて上昇します。( 図1)
話題提供  頭が重くなると下がって水を飲むようなかっこうになるのです。鳥のからだが水平になり、ガラス管の上部が下部のエーテルの液面より高くなった時、自分の重みでガラス管内のエーテルが下に戻っていきます。(図2)
 この鳥は光をあてたりあたたかくしたりすると活発に動き、寒いと動きが鈍くなります。つまり、周囲の温度に大きく影響されるので夏と冬とでは動きが少し違うというわけです。
 熱量が水で冷された頭の方へ流れ、そのエネルギーの一部が鳥を動かす力学的仕事に変換される、「水飲み鳥」は立派な熱機関といえます。
 類似品で、手であたためるとガラス管内で噴水がおこる「愛情バロメーター」という名前のおもちゃもあります。ちなみに当館のミュージアムショップにも似たようなものが売られていました。(写真3)

(学芸員 進 悦子)

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写真3


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