2003.3.1 NO.33

【シリーズ】花と昆虫の織りなすドラマ
テンナンショウとキノコバエ

第4回 テンナンショウとキノコバエ

 サトイモ科のテンナンショウの仲間は、初夏にヘビが鎌首をもたげたような花を咲かせます。テンナンショウの花粉は、キノコバエと呼ばれる小さなハエが運んでいます。
  ハエは、匂いにつられて上部から花の中へ入りますが、そこには柱があって元には戻れません。雄花に入ったハエは、花の下のすき間から外へ脱出できますが、雌花にはこの出口がありません。雌花に誘い込まれたハエは、花粉を運ぶと、花の出口を探しながら死んでしまいます。花と花粉を運ぶ昆虫の関係は、ほほえましいものとは限らないのです。
  写真(上)は、アオテンナンショウの花です。手前の大きい方が雌花で、小さい方が雄花です。 写真(左:クリックで拡大)は、マムシグサの雌花に閉じこめられたキノコバエの仲間です。
表紙文・写真:

学芸員 小林真吾

 


もくじ

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