活動報告

 ●「植物標本の整理について」
学芸課 自然研究科 学芸員 川又 明徳

 博物館では、いろいろな資料を収集・保管しています。その中でも特に点数の多いのが植物の押し葉標本です。愛媛県内の研究者の方々からのご厚意により、これまでに多くの押し葉標本が当館に集まっています(表1)
 これらのコレクション(標本集)は、県内を中心に採集されており、それぞれの研究者の住んでいた地域や専門分野を反映した特徴を持っています。
 現在、これらの押し葉標本を新しい台紙に貼り付け、採集年月日・採集地などのデータをコンピューターへ入力し、コレクションのデータベース化を進めています。こうした標本整理作業は、来館者の方々に気付かれることはあまりありませんが、重要な博物館活動の一つとなっています。
 そして、整理された標本を研究することで、様々な植物の生育分布や形態の変化を明らかにすることができるのです。
 押し葉標本は商品として流通することはなく、そもそも金銭的価値を見出すことが難しいものなのですが、現在整理しているコレクションは子孫に残すべき愛媛県の貴重な財産です。今後とも、県内外からの研究活動に対応できるよう整理作業をすすめ、地域の共有財産として植物標本が活用されるよう努めていきたいと思います。
標本データの確認
標本データの確認

台紙への貼り付け
台紙への貼り付け

【表1】
コレクション名 標本点数 特 徴
三好保徳コレクション 約12,000点 主に南予地方・小田深山周辺での採集、シダ植物が多数。
石川早雄コレクション 約10,000点 主に赤石山系での採集、シダ植物が多数。
藤田幹雄コレクション 約10,000点 主に石鎚山系で採集、イネ科植物が多数。
上窪田康義コレクション 約 5,000点 中予地方の一般的な植物。
野村義弘コレクション 約 2,000点 南予・三崎半島周辺で採集、伊予灘・宇和海の海藻多数。
松山南高校コレクション 約 2,000点 主に伯方島総合調査での採集、松山平野の植物。

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