観察日和 |
山根勝枝 |
●「これは隕石ですか?」 「隕石のようなものを拾ったので見てほしい」という問い合わせが、年に数回ある。実際に見ないとわからないので、持って来てもらう。‘隕石のようなもの’は、大切に包まれてやって来る。その多くは、黒っぽく、少し錆びていて、ずっしりと重く、磁石がくっつく。「これは隕石ではなくて…」と言うと、とてもがっかりされる。ご期待に沿えず、ごめんなさいという気持ちになる。 ‘隕石のようなもの’は、‘からみ’というもので、鉱滓(こうさい)、スラグとも言う。銅鉱石の製錬時に出る銅以外の不純物、つまりカスで、鉄分を多く含んでいる。愛媛にはかつて、別子銅山をはじめ多くの銅山があり、銅製錬が行われていたので、山や海岸などに、からみが転がっている。旧別子の登山道で、たくさん見つけることができる。 |
やまね・かつえ/主任学芸員・地学担当 |