体の側面や6本の長い脚全体に細かい毛が生えており、水の表面張力を利用して水面に浮かび、滑るように動き回ります。ちなみに石鹸などの界面活性剤が流れ込んで水の表面張力が弱まると、アメンボは浮くことができず溺れてしまいます。肉食性で、主に水面に落ちた他の昆虫に口を突き刺し、消化液を注入して消化された体液を吸います。獲物を探す際は、獲物が水面に落ちてもがくときに発生するさざ波を感知して、獲物の位置をつかみます。そのため、アメンボがいる水面を指でたたくなどして波紋を作ってやると、アメンボが寄ってくることがあります。
このように私たちに馴染みの深いアメンボですが、最近「トガリアメンボ」という聞きなれない仲間が見られるようになりました。東南アジアに広く分布する体長約5mmの小さなアメンボで、腹部の端がとがっているのでこの名前がついています。日本には分布しないとされていたトガリアメンボですが、2001年8月から秋にかけて、兵庫県淡路島北部や神戸市周辺で突然採集されるようになりました。今のところ、東南アジアから持ち込まれた水生植物などに付着して移入されたと推測されていますが、正確な侵入経路は明らかになっていません。四国でも2003年9月徳島県鳴門市ではじめて採集され、愛媛県では2005年6月24日に当博物館のある新居浜市大生院で採集されました。
外国から新たに入ってきた昆虫が、今後どのように分布を広げ、日本在来の生物にどのような影響を与えるか、注意深く見守っていく必要があります。非常に小さいアメンボなので、なかなか見分けがつかないかもしれませんが、区別のポイントを書いておきますので、見つけた方は博物館まで連絡をお願いします。 |