話題提供

 総合科学博物館における最近の活動について
学芸課長 岩田憲二

 平成6年(1994)11月に総合科学博物館が開館して以来、13年間で約276万人(H19.8月末)の来館者がありました。この間、子どもから高齢者まで幅広い年齢層に、博物館の展示やプラネタリウムの観覧、或いは講座・講演会等の教育プログラムへの参加をいただきました。一般に博物館では、それら「展示」・「教育普及活動」に「博物館資料の収集・保管」・「調査研究」を合わせた4つの業務が行われています。そして、それら一連の業務を担当する専門職員として学芸員が配置されています。

 当博物館には、開館時16名の学芸員が在籍していましたが、現在は12名(学芸員11名と教員からの異動1名)にまで減りました。加えて、館の事業予算も最盛期の約3分の1に削減されるなど、「人も予算も」減っているのが現状です。こうした苦しい状況の中でも、各学芸員は種々の工夫や努力を行い、経費節減や事業効果増大に努めています。

 例えば、従来外部発注していた科学体験装置を館内製作に切り替え、経費を節減することができました。担当学芸員は、金属加工技術(溶接・切削・穿孔等)の習得など、一つずつ「壁」を乗り越えて科学体験装置を約40点製作し、特別展(17年度)や常設展示で活用しています。また、10年前から始めた学校等への出前講座(実験や観察の講師として学芸員を派遣)は年々件数が増え、18年度は年間80件ありました。出前講座を通して児童生徒や関係者の皆様と直接触れ合い、博物館活動をより身近に感じていただくことにより、館のイメージアップや集客増につながると確信しています。

 ここ数年、「地域に開かれた博物館」という考え方から、博物館活動への住民参画を進めてきました。例えば、友の会クラブ(天文・科学・自然)と共催で実験ショー等の科学イベントを11年度から開催していますが、現場では、クラブ員(=地域住民)の方々が館職員と共に企画・運営に携っています。18年度に共催したイベント(GWやお盆などに4回・延べ8日間)には1万8千人以上もの参加者がありました。また、17年度からボランティア制度を導入し、展示解説・イベント補助・展示改札・資料業務等で活動していただいており、19年度は45人のボランティアスタッフが登録されています。

 以上のように、館内外の多くのスタッフが博物館を盛り立てる為に努力をしています。近年、全国的に公立美術館・博物館等の運営が見直されている中、愛媛県においても指定管理者制度導入が検討されてきましたが、当館については、学芸部門(資料収集・保管、調査研究)は県直営、管理運営部門に同制度導入という方向性が示されたところです(19年8月23日)。現時点では、館の運営形態がどうなるか最終的に決定していませんが、「科学に関する理解増進及び学習機会の提供」という科学博物館に課せられた役割を今後とも引き続き果していきたい所存です。

平成19年度「夏だ!おもしろ実験まつり」…友の会共催イベント


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