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アサギマダラのマーキング調査について●
自然研究科
学芸員
大西 剛
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アサギマダラとは
アサギマダラはマダラチョウ科に属する大型の美しいチョウです。成虫の姿は初夏から晩秋にかけての長い期間見ることが出来ます。夏の間は山など標高の高い場所でフワフワと飛ぶ姿を見かけますが、秋になると海沿いに姿を現します。前ばねは黒、後ろばねは茶色の地色ではねの中央に透き通るような部分があります。この白い部分が新鮮な個体では青みがかっており、日本古来の色「あさぎ色」に見えることからアサギマダラの名前がついています。オスは後ろばねの端に黒い模様(性斑・せいはん)がついているのでメスと簡単に見分けることができます。
オス(後ろばねの下に黒い模様あり)
メス(模様なし)
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写真はクリックすると拡大されます
このチョウの最も興味深い点は、非常に長距離の渡りを行うことにあります。この実態を明らかにするため、全国でマーキング調査が行われています。その結果、春から夏にかけては日本列島を北上し、秋になると南下することが徐々に分かってきました。しかし細かいルートは今でもよく分かっていません。特に愛媛県は解明が遅れていて、2000年にはじめて高知県の足摺岬や鹿児島県の喜界島に渡った個体が確認されました。
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アサギマダラのマーキング調査について
チョウのはねに印をつける作業をマーキングと呼んでいます。マークをつけて放されたチョウがどこかで再捕獲されることによって、移動距離やどれくらいの日数でそこまで移動したかを知ることができます。鳥の標識調査に似ていますが、アサギマダラの場合寿命が短いこと、特別な免許が無くても誰でも簡単に調査に参加できることが異なっています。みなさんも自分の放したアサギマダラが遠い地で誰かに見つけてもらう日が来るのを期待しながら、マーキング調査をしてみませんか?
時期と場所
愛媛県では重信町皿ヶ嶺の風穴周辺で6月~10月にかけて、石鎚山の成就社や瓶ヶ森林道周辺で7~9月にかけて、三崎町の伽藍山や西海町の高茂岬周辺で10月に多くの姿を見ることができます。これらの場所以外でも夏の間は標高の高い場所、秋になると標高の低い場所で普通に見ることができます。高知県では室戸岬周辺で秋にたくさんの個体を見ることができます。
【動画でアサギマダラを見よう】
(2001年10月:三崎町伽藍山で撮影)
・ブロードバンド版(384Kbps)は
こちら
・ナローバンド版(64Kbps)は
こちら
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再生にはWindows Media Playerが必要です。ビデオが再生できないときは、下のリンクからWindows Media Playerをダウンロードして、インストールしてください。 (Windows版、Mac版、Unix版)
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/players.asp
道具
捕虫網(昆虫採集用のソフトな網のもの)
油性フェルトペン(細口のもの)
調査用紙(データを記入し、後日報告に使う)
白いタオル(振り回すとアサギマダラが寄ってくる・・かも?)
捕虫網を使った捕獲方法
アサギマダラはふわふわと風に乗るように飛んでいるので、一見捕まえやすそうですが、いったん振り逃がしてしまうと、高く舞い上がって逃げてしまいます。追いかけ回すのではなく、近づいてきたところを落ち着いて捕まえてください。花に来ている個体は、そっとはねを手でつかんで捕らえます。アサギマダラが来ていた花にはしばらくすると次の個体が飛んできますので、ネットで花を散らしてしまわないようにしてください。また、捕獲の際に体を傷つけないようやさしく捕まえてください。
白いタオルを使った捕獲方法
白いタオルを振り回していると、上空を飛んでいるアサギマダラが寄ってくる事があります。右手でタオルを出来るだけ早く振り回しながら左手に持ったネットで捕まえてください。
マークの方法
油性のフェルトペンではねに「しるし」を付けます。アサギマダラははねをたたんで止まるので、見つけてもらうためにも必ずはねの裏側にマークをしてください。アサギマダラはじょうぶなチョウですが、「しるし」を付けるときにはチョウのはねや脚、触覚を傷つけないよう注意してください。はねは軽く持つくらいなら大丈夫です。
ときどき死んだふりをすることもあるので、マークしている最中に逃げられないよう注意してください。
マークする内容は次のとおりです。
マークの例(雄のはねの裏側)
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写真はクリックすると拡大されます
サダ05
:
愛媛県の佐田岬半島でマークした5頭目の意味です。自分でする場合は略号を適当に決めてください。
EHIME
:
他県で捕獲される可能性が高いので県名を書きます。カタカナで「エヒメ」でもかまいません。
オオニシ
:
マークした人の名前を書いてください。
調査用紙へ記入する
アサギマダラへのマークができたら、調査用紙にデータを記入してください。はねに書ききれなかったデータはこうして用紙に記入し、問い合わせがあった時に答えることのできるようにします。(記録用紙は
こちら
をクリックしてご覧ください。)
調査結果の報告
マークした頭数・データは調査をまとめている団体に報告しておけば、より効率よく照会してもらうことができます。博物館でも愛媛県でマークされた蝶のデータのとりまとめをしていますので、ぜひ連絡をお願いします。
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