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映像アーカイブス『愛媛の漁業と漁具(1)』

産業研究科 学芸員 安永 由浩
現在の愛媛県漁業の操業方式や漁獲方法について記録資料をまとめることを目的とし、県内各地で現地調査を行っています。
これまで収集してきた映像を5分程度に編集し、公開します。この映像によって漁法や漁具について学ぶきっかけになるばかりではなく、漁業全般について広く知るきっかけにもなればと思います。
第一回目の今回は、宇和海での代表的な漁業の一つである「中型まき網漁業」を紹介します。
中型まき網漁業【宇和島市】/約5分
まき網漁業は、魚の群れをまき網と呼ばれる網で取り囲んで捕らえる漁法です。
愛媛県のまき網漁業は、明治22年、浦和盛三郎氏による網を袋状に閉じることのできる金輪網の発明やその後の米国からの漁法導入によって始まります。昭和4年ころ清家政夫氏による、蓄電池と電球を組み合わせた集魚灯の導入により大きく発展しました。その後も、ソナーや魚群探知機、網の巻き上げ機やサイドローラー、活魚槽など様々な技術が導入されています。
主に、アジ・カタクチイワシなどを漁獲します。

まき網漁業をおこなう船
まき網船団には、灯船(ひぶね)、本船(ほんせん)、運搬船(うんぱんせん)と呼ばれる様々な役割をもった船がいます。各船の役割は表のとおりです。
巻き網船団
   
灯船(ひぶね)
魚群探知機やソナーを使って魚を探し、集魚灯を使って魚を集めます。
 
本船(ほんせん)
魚をとる網をはる船です。網船(あみぶね)とも呼ばれ、船団の指揮をとります。
 
運搬船(うんぱんせん)
とった魚を港に運ぶ船です。氷で魚の鮮度を保ったり、活魚槽で生きたまま魚を運んだりします。

魚を捕る手順
まき網漁は、夕方から翌朝に掛けての夜間に操業します。「魚を探す」「集魚灯で魚を集める」「網で魚をとる」この作業を一晩に1回~2回程度します。
「魚を探す」
漁場に到着すると、各船に備え付けられた魚群探知機をにより魚の群れを探します。
   
本船の操舵室
 
魚群探知機画面
(魚群を探知しています)
 
ソナー画面
「集魚灯で魚を集める」
魚群を見つけた後、日没後集魚灯を点灯し、魚の群れを船の周りに集めます。
   
集魚作業イラスト
 
集魚作業中の灯船
 
集魚作業中の灯船
 
「網で魚をとる」
集魚灯で集めた魚の群れを1つにまとめた後、網を海に入れ、取り囲みます。
網をはった状態

取り囲んだ網を船に引き上げ、魚を狭い範囲に集めます。
   
網の引き上げ作業
 
網の引き上げ作業
 
網の中の魚

網に集めた魚を、たも網を使用して活魚船の漁槽に運び込みます。
運搬船への積み込み

漁港への水揚げ
翌朝、運搬船に積み込まれた漁獲物は、漁港に水揚げされて出荷され、各消費地に運ばれます。
   
宇和島漁港
 
手作業で仕分ける
 
計量後、セリ用の容器に移す
 
取材協力:宇和島漁業協同組合専務理事広沢初志、第三戎丸(代表広沢伝彰)。


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