研究ノート
 ロウソクを科学しよう
科学技術研究科 学芸員 藤本 光章

 ロウソクは、昔から生活の必需品として使用されてきました。電気がなかった頃には明かりとして使用していましたが、現在では誕生日、クリスマス、お祭りの提灯など、いろいろなイベントでの演出や停電した時などの災害時用で主に使用されています。ロウソクは、昔は植物や動物、昆虫などの自然の生き物からとりだしたものから作られていました。ハゼやウルシの木の実からとりだした木ロウやミツバチの巣からとりだしたミツロウなどが特に有名ですが、現在は石油から作られるパラフィンロウが主流となっています。
 ロウソクの炎は電気のライトとは違って、繊細で幻想的な雰囲気を出すことができます。どのような仕組みでロウソクは燃えているのか、ここで紹介します。

<ロウソクの燃え方>
芯に点火した炎は、その熱で周りのロウを溶かしはじめます。この溶か された液体のロウは、毛細管現象によって芯を伝わりのぼっていきます。 芯の上部では、伝わりのぼってきた液体のロウがさらに熱せられ高温の 気体になり、空気中の酸素と混ざり合って炎となり燃え続けます。

毛細管現象とは
 毛細管現象とは、細い管を液体中に立て たとき、管の中の液体面が他の液体面より も高くなってしまう現象です。細かい繊維 で作られた糸や布、紙などの端を水につけ てみましょう。しばらく置いておくと水が他 の水面よりもあがっているのが分かります。


<炎の色・明るさ・温度>
 ロウソクの炎を観察してみましょう。炎には明るく見える部分と暗く見え る部分があります。この燃え方から3つの部分に分けられます。ロウソクの 芯の周りで、まだ十分に燃えず気体が残っている所を炎心(えんしん)とい います。炎心は暗く、炎の中でも温度は低いほうです。炎心の外側でロウの 気体が不完全に燃えている所を内炎(ないえん)といいます。内炎は完全に 燃えきらない炭素が熱せられて赤くなるため、一番明るく輝いています。内 炎の外側で色が薄く見えにくい所を外炎(がいえん)といいます。外炎はロ ウの気体が空気中の酸素と結びつき完全に燃えるため、一番温度が高くなっ ています。

炎の色・明るさ・温度

<大きな炎・小さな炎>
大きな炎・小さな炎 炎の大きさを変えるにはどのようにすればよいのでしょうか。 炎を大きくするためには、燃料となるロウをどんどん溶かして芯の上部にあげて気体にする 必要があります。そのため、たくさんのロウを上部にあげるには、芯を太くするのが一番で す。ただし、大量にロウを消費しますのであっという間にロウソクは短くなって終わってし まいます。逆に芯を細くすると炎は小さくなります。小さい炎はロウの消費が少ないので長 い時間燃え続けます。
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自分だけのオリジナルキャンドルをつくろう
 クリスマスや誕生日などの楽しいイベントにロウソクはかかせません。 自分だけのオリジナルキャンドルを作ってみませんか。

★作り方
1 身の回りにあるロウソクを湯せんにして溶かします。その時、芯を取り出し、型に取り付けます。
2 溶かしたロウにクレヨンをひとかけら入れ、色付けします。
3 溶けたロウを紙コップやクッキーの型に流しこんで冷やして固めます。
いろいろな型や容器に入れてオリジナルのキャンドルを作ってみてください。


※注意すること
1 ロウソクは60℃程度で溶けはじめますが、かなり熱くなっています。やけどをしないように注意してください。
2 ロウソクを溶かすときは、必ず湯せんしてください。
3 溶かしたロウソクやクレヨンを熱しすぎると煙が発生することがありますが、この煙は絶対に吸い込まないようにしてください。


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