ここにも科学

 観察日和
山根 勝枝

あやしい者ではありません。
 
 街を歩いていると岩石に目がいってしまう。建物の壁や床、石碑などいろいろなところに使われている。この花崗岩の長石は大きな結晶だなとか、緑色片岩の縞模様がきれいだなとか見ながら歩く。中でもいちばん気になるのは石灰岩。化石が入っていることがあるからだ。先日も高知のデパートで、床にベレムナイトの化石を発見。友達と見ていると、横から化粧品売り場の店員さんの視線が…。あやしまれている…。ストックホルムの駅では、しゃがんで床の化石を見ていたら、「コンタクトを落とされましたか?」と声をかけられ、恐縮。その点、お風呂屋さんは大丈夫。お湯につかりながら、ぼーっと壁や床を見ていてもあやしまれたことはない、と思う。 あやしい者ではありません。

やまね・かつえ/主任学芸員・地学担当
絵…斉藤 麻里子


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