ここにも科学

 観察日和
小林 真吾

キノコ観察のススメ

 昨冬のこと、いつものように子どもを迎えに学校へ行くと、校庭の隅の木から何やらニョキニョキと怪しげな物体が…。じっくり観察したところ、かつて「シメジ」という名で販売されていた「おいしいキノコ」であることが判明。さっそく新鮮で大きなものを採集して持ち帰り、冷ややかな妻子の目をよそに、しっかりと胃袋に収めました。

 キノコ狩りというと、山奥に分け入って…というイメージがありますが、身近な公園の樹木や街路樹からも、実に様々なキノコが発生します。ちなみに、この学校は大きな町の住宅街の中。みなさんもぜひ、自宅のまわりで探してみてください。食べられるキノコを探すのも楽しいですが、どこにどんなキノコが生えているか、いろいろ観察することをおすすめします。身の回りの環境は、時とともに変化します。積み重ねられた観察記録は、その時々の自然の姿を私たちに語りかけてきます。このような「ある時、ある場所の自然の姿」を後世に伝えるために、博物館ではいろいろな標本を集めています。もちろん今回のキノコも、ちゃんと博物館の胃袋(収蔵庫)に収めました。

こばやし・しんご/主任学芸員・植物、藻類、菌類担当


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