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●静電気であそぼう!?●

科学技術研究科 学芸員 藤本 光章
冬になると気になるバチバチといえば静電気ですね。セーターをぬいだり、ドアのノブをさわったりしたとき、ビリッときます。とてもイヤですよね。毎年、その静電気に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
でも、そのイヤな静電気も使い方によっては、楽しく遊べる素材に変身します。今回は静電気を使った遊びをみなさんにご紹介したいと思います。身近にあるものを使いますので、お家や学校でぜひ挑戦してみてください。学芸会などでやるとヒーローになること間違いありません!?
 ただし、遊ぶ前には必ず静電気とはどういうものなのかを知っておいてください。より楽しく 遊ぶことができるはずです。そして、ぜひお友達にも教えてあげてください。

まずは、静電気を作ってみよう!!
 みなさんは、学校などで下じきをこすって髪の毛をたたせて遊んだことはありませんか。これはご存じのとおり静電気のしわざです。ということは、静電気というのはモノとモノをこすることによって作ることができるのですね。別名、「摩擦(まさつ)電気」とも呼ばれています。


静電気遊び〈その1〉
『いろいろなモノを引っぱってみよう』
では、実際に塩化ビニルのパイプ(水道のパイプ)をティッシュでこすって静電気を作り、いろいろなモノに近づけてみましょう。

水道の蛇口から流れでる水1. 水道の蛇口から流れでる水
水道の蛇口から少しだけ水を流してください。そして、こすったパイプを近づけてみてください。どうなりますか?

アルミホイルで作ったリング2. アルミホイルで作ったリング
細長く長方形に切ったアルミホイルで輪を作り転がるように立ててください。そして、こすったパイプを近づけてみてください。どうなりますか?
3. 糸でつるしたお札や野菜
お札やニンジンなどの野菜を糸でつるしてください。そして、こすったパイプを近づけてみてください。どうなりますか?

どうしてモノとモノをこすると静電気ができるのだろう?
モノはもともとプラスとマイナス電気をもっています。下じきや髪の毛もそうです。ふだんはバランスがとれているので電気がないようにみえますが、モノとモノをこすり合わせると電気的なバランスがくずれ、それぞれプラスの性質、マイナスの性質をもつ(帯電する)ようになります。ちなみに下じきはマイナスの電気の性質、髪の毛はプラスの電気の性質をもってしまうため、お互いに引きよせ合います。


静電気遊び〈その2〉
『電気クラゲ』
こまかくさいたビニールひもを海にすむクラゲにみたて、フワフワ浮かべてあそびましょう。

  1. 細かくさいたビニールひもと塩化ビニルのパイプ、ティッシュを用意してください。
  2. 塩化ビニルのパイプとビニールひもをそれぞれティッシュでごしごしこすります。
  3. ビニールひもを投げ上げ、パイプを近づけると、ビニールひもはクラゲのようにフワフワ浮かびます。

電気クラゲ どうして?
こすり合わせるモノの組み合わせによってプラス、マイナスのどちらの電気に帯電するかが決まります。塩化ビニルのパイプとティッシュをこするとパイプがマイナス、ティッシュがプラスに帯電し、ビニールひもとティッシュをこするとビニールひもがマイナス、ティッシュがプラスに帯電します。このため、塩化ビニルのパイプとビニールのひもはどちらもマイナスに帯電していますので、反発しあいクラゲのように浮かんでしまいます。


静電気遊び〈その3〉
『百人おどし』
ライデン瓶を作って電気ため、その電気をみんなにも分けてあげましょう。

<ライデン瓶を作ろう!>

アルミホイルとプラスチックコップを2個用意してください。

  1. プラスチックのコップの外側にアルミホイルを巻いてください。2個ともします。

  2. 2つのコップを重ねます。そのとき、 中にアルミホイルを折りたたみ細長くしたモノ(集電板)をさしこんでください。以上でライデン瓶の完成です。

  3. 集電板のそばで塩化ビニルのパイプをティッシュで100回ほどごしごしこすります。

  4. ライデン瓶の下の部分を片手で持ち、もう片方の手の指先を集電板に近づけてみてください。ビリッとくれば電気が たまっている証拠です。

ライデン瓶って?
ライデン瓶は、1746年ごろ、オランダのライデン大学で静電気の実験用に作られたものです。本物はガラス瓶と金属はくを使います。 原理はコンデンサーと同じです。向かい合わせにはりあわせたアルミホイルの間には、電気を通さないプラスチック(絶縁物)があるため、電気が流れません。そのため、アルミホイルに電気がたまります。

百人おどしに挑戦しよう!

  1. みんなで、しっかり手をつないで輪になりましょう。その時、つないでいる手以外別のモノにはふれないでください。手をつなぐ人数は何人でもかまいません。

  2. 電気がたまっている状態で両端の人の1人が、ライデン瓶の外側のアルミホイルをにぎ り、もう1人の人が集電板をさわってください。全員がビリッと感じます。


どうして?
この百人おどしは、100人の人が手をつないでも全員に電気をとおすこと ができるという実験です。その時からだに感じる静電気は、電圧が1万ボルトぐらいですが、電気の量は少なく、1億分の1秒くらいしかからだの中を流れないので安心です。ただし、心臓の弱い方やペースメーカーをつけている方はご遠慮ください。
ライデン瓶材料
▲ライデン瓶の材料
ライデン瓶製作
▲コップにアルミホイルを巻きつけます
ライデン瓶完成
▲コップを重ねて完成です
ライデン瓶遊び方
▲静電気のため方
ライデン瓶確認
▲静電気がたまっているか確認します


ビリッ、バチッはどうしておこる?
モノとモノをこすり合わせると静電気が生まれますが、生まれたらすぐに飛び出してしまうわけではありません。まず、セーターやブラウス、からだなどにいったんたくわえられます(帯電する)。そして、その状態の時に電気が飛びつきやすい金属製のドアなどが近づくと電気がドアめがけて飛び出してしまいます(放電する)。このとき、ビリッ、バチッと感じてしまうのです。
では、そのイヤな思いをしないためには、どのようにしたら良いと思われますか。いろいろな方法がありますが、結局は体や服に電気をためなければ良いのです。でも、それは無理ですよね。となると、たまった電気を放電させるか、電気が飛びつきやすいモノにふれないようにするかしか方法はありません。そのため最近では、たまった静電気を放電させるグッズが登場してきています。その他には金属製のドアをさわるときに服や手袋などを使って直接ふれないようにすると良いかもしれません。また、静電気は先のとがったものに飛びつきやすい(先端放電)性質があるので、モノにふれるとき、指など先のとがったモノからさわらないで例えば手のひらの平べったいところで一度さわった後、さわるようにするという方法などもあります。このように、静電気の仕組みを知っていれば、イヤな思いをしなくてもすみますよね。
うまく静電気が作れないときは?
実験している時期や場所は、湿気が多くないですか。静電気あそびは乾燥している方がうまくできます。冬の季節にするとよいでしょう。

こするモノ(塩化ビニルのパイプなど)の表面は汚れていませんか。消毒用アルコールなどできれいふいてみましょう。

ティッシュが湿ったり、手のひらに汗をかいたりしていませんか。その時は、ティッシュを交換したり、タオルで汗をふいたりしてください。
 ●静電気遊びで注意すること

静電気は、楽しく遊べる素材ですが、注意しないといけないことがいくつかあります。以下 のことに注意して遊んでください。

  1. 静電気は雷をとても小さくしたものです。火花が出ることがありますので、絶対に引火性のあるものの近くでは遊ばないでください。
  2. パソコンなどの精密機器は、静電気に大変弱いです。また、心臓が弱いお年寄りの方や ペースメーカーをつけている方にもよくありません。十分に注意してください。



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