博物館だより

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2008年秋冬号(No.54)
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愛媛の漁業(2)
「船びき網漁業」

 船びき網漁業 は、船で網を曳き、魚を漁獲します。愛媛県内各地で操業され、主にカタクチイワシを漁獲します。網の形が股引(パッチ)に似ているため、パッチ網漁とも呼ばれます。燧灘東側海域では、おおよそ6月から9月にかけて盛漁期となります。この漁法は、昭和5年に徳島県津田町で始まったとされ、宇摩地方では昭和26、27年ころに導入が進みました。網を扱う網船2隻と漁獲した魚を運ぶ運搬船2隻が1つの船団となり操業します。漁場に到着後、魚群を発見すると網船2隻を分け、網を広げて曳きます。20分程度網を曳いた後、再び2隻をつなげ網を揚げます。漁獲したカタクチイワシは、鮮度が落ちないうちに、すぐに運搬船で加工場に運び、煮干しなどに加工されます。
参考文献:愛媛県史地誌II(東予東部) 協力:三島漁業協同組合・宮崎 正

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(学芸課 産業研究科 主任学芸員 安永由浩)
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