博物館だより

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博物館だより

2008年冬号
ここにも科学
観察日和「魔法の霧吹き」
川又明徳

 生き物を調べるためには、まずは標本採集。地衣類に関しても同じ。地衣類の採集にもちょっとしたコツがある。乾燥した地衣類は割れて壊れ易いのだ。そんな時は霧吹きで湿らせて、柔らかくして剥ぎ取る。その時に気になる存在が、蘚苔類のコケである。一般的にコケと言えばこちらを指すことが多いだろう。乾いている時は葉を拳のように閉じているが、霧吹きで水を吹き付けたとたん、瞬く間に葉を広げ、鮮やかな緑色に変わるのだ。思わず見入ってしまう。瞳を奪われるとは、まさにこのことである。この変化は何度見ても見飽きることはない。観察会で何度か紹介したが、みなさん「おぉ!」と声を出して驚かれる。花や緑の少ない冬の自然観察におすすめの観察物である。蘚苔類のコケは町中でも簡単に見つけることができる。みなさんも一度お試しあれ。

 霧吹きは化粧品等の詰め替え用として、100円ショップで売っている。いくつか購入して、ポケットやザックの中に忍ばせておこう。

乾燥時
乾燥時
湿潤時
湿潤時
霧吹き
霧吹き
(学芸課 自然研究科 主任学芸員)
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