博物館だより

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2009年冬号(No.55)
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愛媛の漁業(3)
「沖合底びき網漁業」

 沖合底びき網漁業 は、2隻の船で1つの底びき網を使用して、海の底に棲むエソ、タチウオ、イボダイ、イカ類、マアジなどを漁獲します。地元八幡浜では、トロール漁業とも呼ばれています。この漁法は、大正7年に真穴村(現八幡浜市)の柳沢秋三郎氏が動力機関を取り入れた底びき網漁業(1艘びき)を山口県から取り入れたことに始まります。現在の2隻で網を曳く方式も、同氏によって大正11年に導入され、大きな成果を上げることとなりました。この成功を機に、多くの打瀬網漁業者が相次いで沖合底びき網漁業に参入しました。最も多い昭和22年には27統54隻もの隻数を誇っていました。その後、漁獲量の減少や魚価の低迷などのため、他種漁業への転換、廃業により減少が続き、現在では、1統2隻が操業しているだけとなっています。
参考文献:柳沢秋三郎翁伝記 協力 八幡浜漁業協同組合・有限会社 昭和水産

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(学芸課 産業研究科 主任学芸員 安永由浩)
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